北九州のアニソンバー「あにらぶキタキュ」は地元のオタク文化を支える良店である

福岡県北九州市小倉地区は商業地区の他に歓楽街もあり、様々な表情を見せる魅力的な街である。よく修羅の国と言われるが、割とマジな話である。筆者が訪れたときはちょうど暴力団対策が盛んな時期で、全国から応援にやってきた警察官が街のいたるところをパトロールしていた。仲良くなった北九州市民の言を引用すると「あっちの倉庫、あるじゃないですか。こないだあそこからバズーカ砲が見つかったんですよ。」とのこと。これも北九州では日常の風景なのだと聞いた。今日は北九州にあるアニソンバー、あにらぶキタキュの思い出を語ろう。

北九州はオタクの街

北九州市は、実はオタク文化が盛んな街である。

町おこしはオタクから

北九州は「北九州漫画ミュージアム」を市が運営するなど、オタク文化に理解のある街である。ミュージアムが入居する小倉駅前のオタクビル「あるあるCity」はアニメイトに代表されるオタク向け店舗が多数入居し、北九州のオタク文化の中心となっている。ビルの地下にはライブスペースもありアイドルライブやアニソンライブが行われている。

夏祭りでアニソンコンテストが開かれる

市の夏祭りなどではアニソンのカラオケコンテストが開催される。アニメやアニソン文化に寛容というか、一つの街の名物のような印象を受ける。そのような街にアニソンバーがあるということは、ごく自然な流れなのだろう。

北九州のアニソンバー

アニソンバー「あにらぶキタキュ」は、北九州市内のアニメが好き、アニソンが好きだという地元の方々の憩いの場として、日々賑わいを見せているのである。

店舗への道のり

あにらぶキタキュは北九州市小倉北区堺町にある。小倉駅からは歩いて10分程度。堺町公園から北の方の細い路地に位置する。以下のストリートビューを参考にされたい。エレベーターまたは階段で3Fに上がり。エレベーターを出て右手に店の入り口がある。

あにらぶキタキュの周辺

お店の雰囲気

あにらぶキタキュ!がどのような店か紹介する。

オーソドックスなアニソンバー

カラオケのモニターがあり、壁にはアニメのポスター。店内のあちらこちらにアニメキャラのフィギュアが置いてある。いわゆるオーソドックスなアニソンバーの風情である。女性の店員さんはコスプレして接客してくれるが、盛り上げ系というよりはトーク重視。地元の子が多く、ふとしたときに出てくる方言がとても愛らしい。

あにらぶキタキュカウンター

お客さんがフレンドリー

あいさつ代わりにカラオケで一曲。タイムボカンシリーズより、嗚呼!逆転王を選択する。この歌はメロディーラインが低い上に音程が取りづらく、筆者の中では難易度の高い曲である。一曲歌い終わると、隣の席のお客さんがすぐに話しかけてきた。そこから小一時間、店長さんも一緒になって昔見たアニメの話に花が咲いた。その後はソファ席に移動し、お客さん4人ほどでわいわいと盛り上がる次第である。みんな焼酎をがぶがぶと飲んでいた覚えがある。

料金には天井がある

九州地区の飲み屋は料金に天井設定があることが多い。あにらぶキタキュ!もタイムチャージ制であるが、3時間以上いるとそれ以上料金はかからない。8時~2時まで遊んで5千円程度で収まる。はっきり言おう。めちゃめちゃ安い。

どんな楽しみ方をすればいいか?

基本的には歌うと楽しい店である。昔の歌も最新の歌も、どちらを歌っても等しく楽しめる。歌の上手い下手は関係なく、コミュニケーションのツールとして活用するとよいだろう。アニメとは地域の隔たりに関係なく、共通の話題として成立するのだということを知ることができる。これが地方のオタクバーに行くことの醍醐味だ。

あにらぶキタキュカウンター2

特筆すべき点

あにらぶキタキュは地域密着型のアニソンバーであり、都内のアニソンバーでは見られないような一面がある。

アニソンライブを主催することも

あにらぶキタキュは、地域のアニメ文化をこよなく愛し、さらに発展させようという姿勢のある店である。今は不定期と聞いているが、ある時期は毎月アニソンライブを開催していた。恥ずかしながら筆者も一度ステージに立たせていただいたことがある。北九州のお客さんの熱気にただ圧倒された良い思い出だ。

ライブハウスを作ってしまった

あにらぶキタキュ!はそうしたイベントによって若い世代を取り込み、アニメ文化を育てるために、二号店としてライブハウスを作ってしまったのである。こんなことをするアニソンバーなど他に聞いたことがない。店長の並々ならぬ情熱が伝わってくるだろう。現在は二号店として、ステージ付きのアニソンバーとして営業しているとのこと。

アニソンコンテストの常連さんもやってくる

環境がそろいすぎてしまっているため、常連さんには九州地区のアニソンコンテストの上位入賞をするような、とても歌の上手な方々もいらっしゃる。自分が歌うだけではなく、上手な人の歌を聴くのもまた乙なもので、自分ではできない表現を見せられてぐぬぬと歯ぎしりする。そして自分を磨く、というプラスのサイクルを楽しめるという点も特筆すべきだろう。

オタク文化はカラオケだけではない

アニソンコンテストのみ取り上げてしまったが、コスプレイベントなども盛んである。九州の美女がコスプレしている風景はとてもいいものだ。もう一度言おう。とてもいいものだ。他にも、踊ってみたなどのダンスや、DJパフォーマンスなど、北九州の様々なオタク文化が集まってくる。その中心に、あにらぶキタキュは存在するのである。

 

 

北九州はご飯がとてもおいしい。北九州からフェリーで渡った唐津のふぐ、門司港の焼きカレー、小倉駅近くの焼き鳥、肉バル、どれを思い返しても垂涎必至、また行きたい街である。観光を楽しみ、おいしいご飯で満たされた後、あにらぶキタキュで北九州のオタク文化を肌で感じる。嗚呼、素晴らしき哉。筆者にとって忘れられない思い出である。